オフィス街、日本橋。この界隈を行き交う人々の目的や価値観は実に多種多様だ。そこで今回は、あえてデザイナーの個性を全面には出さず、様々な目的に応じた利用を想定し、更に幅広い層に受け入れられる空間を目指した。天井高3.8mの大空間には、アンティークチェアや照明、ラフな印象のオリジナルテーブルなど、多彩な表情のインテリアがゆったりと並ぶ陽気でカジュアルなカフェ空間が広がる。中庭の足元はデッキ材とし、全開放できるようにして木の温もりを感じる店内との一体感を持たせた。店内奥にダイニングエリアを配置し、照明を落とし、奥へ進むほど空間が濃くなるよう、インテリアの印象にグラデーションを付けた。パーソナルスペースにゆとりを与え、林立するヒノキ丸太で空間を緩くつなぐことで、柱に囲まれているという領域性を感じるようにした。誰もが周囲を気にせずくつろいで食事ができるよう、さまざまな気遣いと工夫を凝らした空間となっている。モーニングからディナー、ビジネスシーンからパーティーまで、各ゾーンに変化を付けることで目的に応じた使い方に対応できるようにした。ラフやエレガント、カジュアルやフォーマル。ここには多種多様な要素が混ざり合っているが、隣り合うものやシーンを関連させながらつなげることで、 全体がひとまとまりになるように考えた。