「松向軒」2013年
熊本にゆかりの深い細川忠興という人物は、足利義昭、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と時の権力者に仕えて、現在まで続く肥後細川家の基礎を築いた。また、父幽斎と同じく教養人/茶人としても有名で、利休七哲の一人に数えられる。
北野大茶会の折には「松向庵」(影向の松の下に建てられたことに由来する)という名の茶室を設け、それに由来して後年「松向殿」と呼ばれることもあった。松向庵は、二畳台目、床(とこ)は下床座、炉は台目切であり、切妻造、こけら葺、松の皮付柱、二段の棚、風炉先に下地窓、内部は珍しい黒壁となっている。二畳台目だが、四畳半で付けるかのようなサイズの窓を配置している為、内部は非常に明るい。今回は熊本にゆかりの深い忠興の「松向軒」を現代に置き換え、作り出した。実際には、エキスパンドメタルを間仕切りとして使い、その内と外で色を塗り分ける。一方から見ると周りの木に合わせたベージュなのに対し、内に入ると黒壁の空間となる。「松向軒」の特徴的な黒壁を、近代的なマテリアルを使って表現した。
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東京都港区東麻布2-32-10東麻布SSビル4F
2008/11/01
一級建築士事務所 東京都知事 55345号
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