倉敷科学センタープラネタリウム

岡山県倉敷市にある倉敷科学センター内プラネタリウムの全面改修プロジェクトです。
1993年竣工の地方公共施設内にあり25年ぶりの改修となる本プロジェクトは、株式会社五藤光学研究所との協働チームとして、プロポーザルから参加・協力して実現したプロジェクトです。課題解決型の提案をしています。
プラネタリウムドームへの導入部となるホワイエには、外にまではみ出してしまう100人以上の入場待ち待機列を整理する、という改善しなければいけない命題がありました。学芸員の方々と人の動線の再検証をする中で、入場口までの距離を長くすることで解決することにしました。いままでの入場口と退出口を反転させて、退出する人の動線の方が短くなるような計画としました。次に遠くなってしまった入場口まで人が自然と導かれていくように、空間全体を誘導サインとして表現する事にしました。床壁天井のカラートーンの調整をする中で、壁面の色彩を5色に分割して、パースラインを空間に刻むことにしました。それにより空間の形や奥行きが直感的に認識できるようになり、床のカーペットの模様、天井の吊り照明と併せて、入場口までの人の流れを生み出しました。
殺風景なただの通路にならないように、組み合わせて持ち運びしやすいソファスツールを新たに入れて、ラウンジスペースや読書スペースといった滞在空間を来館者が自由に作れるようにしています。
天井から吊り下げられているペンダントライトは市販のLED光源の電球を用いました。1等星を入口から入場口まで明るい順番に並べて、青白、白、黄、橙、赤の5種類の星の色に分類して市販のアルコールマーカーを用いて手作業で着彩しています。この照明器具は数ヶ月に1度の頻度で来館した子供達に1等星の着彩をしてもらう、というワークショッププログラムをつくり、地域の小学生達の教材としても用いられます。
壁面の分割モジュールやペンダント照明の数等は、すべて一等星の数である21という数字によって設計されています。
ドーム内は星空を見る際に邪魔にならないような色調が良いと考え、倉敷市の高名な美観地区の風景から色をとり、白と黒それと藍色を組み合わせたカラースキームを構成しました。真っ暗闇でも目が慣れてくると煩わしくなるような色彩が入らないように配慮しています。
本件は、空間デザイン・基本設計業務以外に、サインデザイン、家具デザイン、プラネタリウム全体のカラースキームの協力をさせて頂きました。