五感で食を楽しむ空間「FOR MY BIG FAMILY（家族のために）」をブランドポリシーに持ち、大阪市内に高品質スーパーマーケットを展開している企業が、心斎橋に近い西区新町に出店しました。
この新店舗が持つ最大の特徴は、そのレイアウトにあります。入り口にはヨーロッパのマルシェのような果物売り場が広がり、その先にはまるでレストランのオープンキッチンを想像させるガラス張りの総菜売り場があり、円形のサイドカウンターレジがあり……と、それぞれの売り場が有機的につながり、楽しく自然に歩けるレイアウトを提案しました。今までのような効率重視で無駄のない、直線的なスーパーマーケットのレイアウトとは、一線を画すものです。また、生鮮売り場はすべて客から見えるオープンな作業スペースと連動しており、手づくり感とライブ感を演出。「ここでつくられている」という安心感と共に、売り場に活気を生み出すことに成功しています。
ファサードは、大きなガラスの開口を持ち、シンメトリーなデザインとしています。食品店らしく清潔感のある白パネルとクオリティーを感じることのできる濃いグレーのタイルというシンプルな構成にしました。大阪の煩雑とした街並みの中で、そのシンプルさが逆に目を引くことを意図しています。内部は、それぞれの売り場に個性を持たせ、大阪らしく？シャンパンゴールドの天井でまとめた、まさに「客を迎え入れる店とはどうあるべきか」という命題を具現化しています。
オープン後は、売り上げが順調に伸びており、お客様は快適な食の空間で買い物を楽しまれています。今冬、2階のレストランが一部オープンします。1階のスーパーマーケットで新鮮な食材を選び、2階のレストランで調理、快適な音楽と空間で料理を味わえる……といった「五感で食を楽しむ空間」が実現しつつあります。
商店建築　2014.11月号掲載