「朝」「昼」「晩」をイメージした三つのシーン宮崎市の中心部にある商業ビルの地下1階に開業したこの空間は、「生産者と消費者をつなぐ出合いの場所をつくりたい」というオーナーのコンセプトを具現化した「食のワンダーランド」です。ベーカリー「アシェンテ」、フルーツアイランド、セレクトフーズ、デリ「LDキッチン」、うどん「麺ディッシュ」、鉄板焼き「鉄板ディッシュ」、レストラン「まんまーる」という七つの売り場を一つの空間に持つことから、「LADISH SEVEN（ラディッシュセブン）」と名付けられました。宮崎市内で長い間「食」に特化し、研鑽を積んで来た企業だからこそできた業態だと言えるでしょう。
レイアウトは、普通であれば邪魔な存在になるであろう区画内に並ぶ大きな柱を逆手に取り、「この区画だからこそ成立するレイアウト」を提案。70mもの奥行きを持つ長い区画で、「朝」「昼」「晩」と大きく三つのシーンを想定。中央のコンコースを主軸に、幹のように七つの売り場を配置し、利用者にとって見やすく、広い店内を楽しみながら自然と歩けるよう工夫しました。
インテリアは、築40年の古い建物ゆえ、階高も低く、圧迫感のあった天井仕上げをすべて落して、最大限の空間を確保しました。そして、梁型のサイズがすべて異なっていたので、それらを統一した寸法で囲い、整理された造形としました。
開店後は、各売り場で定期的にテーマを決め、地域の食材を使った食のイベントや、食に関する講師を招いたセミナーなどを開催しています。売り場に活気が生まれ、着実にお店のファンを増やしつつあるようです。
商店建築2014.11月号掲載