福岡ちゃんぽん菜根譚

駒沢公園近くに立地している、ちゃんぽん屋さんのプロジェクト。福岡ちゃんぽんの店をリタイアした先代を若夫婦が東京に呼び寄せ、共に新しいお店を開業させた。

クライアントからは極力シンプルな内装にして欲しいというオーダーがある一方で、ウエイティング対応の雨除けの庇や、テーブル席と座敷席との間のパーティション、収納や厨房の目隠しなどにはアクセントを加えたいと求められた。コンパクトな店内であるがゆえに両立が難しい副次的な要望をどう解決するかが課題だった。

また言うまでもなく、九州発祥のご当地ラーメンとして知られる「ちゃんぽん」は、食材の残り物、いわば副産物をごちゃ混ぜにした事から生まれたとされている。このお店ではちゃんぽんのルーツである副産物に着目し設計を行うこととした。

副次的な要望である庇や目隠し、パーティションはそれぞれ色付のポリカやパラシュートコードなどを転用することで軽快な印象となるように努めている。またＲＣ躯体現しのシンプルなインテリアとした為、どうしても見えてきてしまう露出配線や、タイル目地および照明のケーブルなどのカラーも統一することとした。つまりここでは素材や元々の用途も異なる”副産物”をアコモデーション（つじつま合わせ）しつつ、ごちゃ混ぜのまま共存させることを試みているのだ。

大陸との玄関口である九州の自由で大らかな気風が生み出した「ちゃんぽん」の様にインテリアでも“副産物”がそれぞれ自由に振舞いつつも、一つのドンブリの中で不思議なハーモニーを生み出している、そんなお店を目指してデザインした。