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サントリーのウイスキー「響」をメインメニューとするボトルバーである。
前面道路からよく見える巨大な樽は、インテリアのスケールというよりも、むしろ街のスケールであり、街と店内に連続性を生み出している。これらの巨大な樽は、道行く人々に対してのサインの役割を果たしつつ、エントランスアプローチ、個室、トイレといった各種機能を担っている。
まず、エントランスの大きな樽をくぐらせることで、客の心を日常から切り離し、ビジネスや街の喧騒とは異なる独自の時間を店内に生み出している。
壁に目をやれば、時を刻む照明器具が設置されている。ロックグラスに定期的に落ちる水滴が水面に波紋を作るり、蛇口に仕込んだファイバーライトやグラス底面に仕込んだミラーが、その一連の流れを光に変え、壁や天井を巡る。水滴の落ちるスピードや量は、厳密には一滴一滴違い、そこには我々が日々過ごしている一瞬一瞬にもリンクする。有限である時間への意識を強めてもらうことで、ここで過ごしている時間はもちろん、日々の豊かさにもつながることを願う。
建材にはエイジング仕上げをかけ、いくつもの複層的な時間が店内に流れていることを感じさせる。
壁面の黒皮鉄板の飾り棚には、ウイスキーのボトルがディスプレイされており、琥珀色に発光する。これは、今飲んでいるウイスキーがどれだけの時間と手間を経て生み出されたものであるかを人々に意識させる。こうして感じられる時間の厚みこそが、いっそうウイスキーを美味しくするだろう。
そして、「時間と手間」に意識を向けさせるということは、同時に、「ものづくりの大切さ」を意識させることでもある。
そんなことを感じながらグラスを傾ければ、いつしか「時間」に対する意識がゆっくりと変容し、日常の気ぜわしい時間から解放されているだろう。
路面店
ビルイン
東京都中央区八丁堀4-11-2
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