KURAGE

マンション販売のための商談スペースの計画。
クライアントの要望は、長時間の打合せでも疲れないリラックスできる空間を、というものであった。
従来の商談スペースは、大きな空間にテーブルと椅子が整然と並んでおり、それぞれの目線が交錯する状態であった。
そこで、僕たちは「目線のデザイン」と「住宅化する」ということに重点を置いてプロジェクトをスタートした。まず、座っている目線の高さを1100mmに設定し、いくつかの遮り方について検討した。
この空間で最も重要なことは、座っている人がリラックスできるかどうかであり、また商談スペース特有の「追いつめられる感」を軽減したいと考えた。その結果、天井からふわりと糸のカーテンを垂らして遮ることとした。
立っている人と座っている人の目線は重ならないが、座っている人には圧迫感がない。また、人が動いたり空調された空気が流れることで、カーテンが海を浮遊するクラゲのようにふわふわと揺れている様は、見るものを飽かさない。
仕上については、無垢のフローリングと白のクロスとしている。照明計画も電球色のランプを使用し照度を住宅程度まで落としている。また、子ども連れが多いスペースとなるため、椅子の貼り地をすべて異なる色とし、小さな発見が散りばめられるように計画した。